Addicted to....

「言葉といふものは、生きていることの不安から芽生えてきたのでしょうね」
これ、太宰の名言だと思います。

太宰が生きたのは、大正デモクラシー、恐慌、マルキシズム、
ファシズム、十五年戦争・・・・
と戦後未曾有の混乱を生んだ、まさに激動の時代でした。
太宰個人が勝手に抱いた「撰ばれしものの不安」はさることながら、
様々な価値観が左右に大きく揺れ続けた時代に翻弄されることなく、
信念を貫こうとして生きることへの不安は、計り知れない。
太宰はこの不安を「言葉」にして吐露することで、
前へ進む力を得ようとしていたのではないでしょうか。

幼少期から朗読を好み、書を嗜んで言葉に慣れ親しんできた太宰は、
「言葉」を棹に自分を支えつつ時代の流れに歯向かってきたといえます。
太宰は書き損じの原稿を生涯捨てなかったといわれていますが、
それは単なる貧乏根性のせいだけでなく、
そうやってしたためた創作の跡こそ、自分が懸命にいきてきた証であると
太宰が感じていたからではないでしょうか。
そうした執念の言葉だからこそ、今もなお人の心を惹き付けてやまないのです。